【コラム】
全文検索で、説得力ある意見書を!
◆本願商標と引用商標
次の仮想場面で考えてみたいと思います。
本願商標:商標「インフォソナーIoT」(標準文字)
第9類「電子計算機用プログラム」
引用商標:商標:「IOT」
第9類「電子応用機械器具及びその部品」他
「インフォソナーIoT」の本願商標を出願し、「IOT」の先登録商標と類似するとの拒絶理由(商標法4条1項11号)が通知され、非類似の意見書を作成しようとする場面です。
◆意見書の骨子
意見書では、以下①から③の観点から、本願商標の後半に位置する「IoT」の部分が引用商標と対比されるべきではなく、本願商標は「インフォソナーIoT」又は「インフォソナー」の部分が出所識別標識として機能するため、本願商標と引用商標は非類似と主張したいと考えているとします。
①本願商標を構成する「IoT」の部分は、「Internet of Things」(モノのインターネット)の略語と認識されること
②本願商標の指定商品との関係で「IoT」の文字の識別力は弱いこと
③本願商標を構成する「インフォソナー」の部分は、「IoT」の部分に比べて識別力が強いこと
そこで、上記②について参考となる情報を、TM-SONARの「全文検索」を利用して検索してみます。
◆全文検索から併存登録を探す
権利存続の中から、「商標」:「IOT」、「類似群コード」:「11C01」でAND検索してみると、18件の商標一覧(権利存続中)の情報が抽出されます。
この18件中で、「IOT」、「iot」、「IoT」の普通の文字が構成中に含まれる商標を、目視チェックしてピックアップすると、以下に掲げる商標をリストアップすることができます。
これら商標リストは、本願商標の指定商品「電子計算機用プログラム」の関連分野との関係で、「IoT」の文字の識別力は弱いことを裏付ける「IOT(iot、IoT)」の併存登録例となり、意見書の参考資料に活用することができます。
※全文検索の方法でヒット件数が少ない場合、IOTの部分一致「?IOT?」で検索したり、あるいは、「称呼(発音同一)」の項目で「アイオウテイ」で検索したりし、より範囲を広げて情報を探すこともできます。逆の方法で、ヒット件数が多い場合により範囲を狭めて情報を探すこともできます。
◆全文検索から拒絶例を探す
今度は、「権利存続」ではなく、「失効全て」の中から、①「商標」:「?IOT?」、②「類似群コード」:「11C01」、③「拒絶条文コード」:「30,31,53,83,93」(※「補助」から3条1項各号のコードを選択しセット)でAND検索してみると、51件の商標一覧の情報が抽出されます。
※「補助」ボタンから拒絶条文コードの選択が可能
検索を行い「結果一覧」を表示
この51件中で、2020年以降の出願から、標準文字かつ文字種が異なる結合商標を、目視チェックしてピックアップすると、以下に掲げる商標(3条1項各号で拒絶)をリストアップすることができます。
「まるごとIoT」
「IoTブレーカシステム」
「AI+IOT」
「IoT経営ダッシュボード」
「IoTホームソリューション」
「IoTお薬箱」
「IoTアクセス盤」
「IoT薬箱」
「IoT経営ダッシュボード」
など・・
これら商標リストは、本願商標の指定商品「電子計算機用プログラム」の関連分野との関係で、「IoT」の文字の識別力は弱いことを裏付ける拒絶審査例となり、意見書の参考資料に活用することができます。
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