【コラム】
併存商標のスマート検索(結合商標編)
【コラム】
併存商標のスマート検索(結合商標編)
商標実務において、いわゆるA+B商標(2つの語を結合させてなる商標)と、A又はBのみからなる商標が類似するか否かの判断を迫られるケースというのは、意外に多いのではないでしょうか。このような場面で、「併存商標」の存在は、商標調査や意見書作成の際に極めて有効な判断資料になります。
例えば、商標「スーパー○○」の登録可能性について調査をしている際、他社の先行登録商標「○○」の存在が確認できた場合、その類否の判断が必要になります。このような場面で、過去のデータから、商標「スーパーライオン」と商標「ライオン」とが異なる者によって出願され、両者とも商標登録されている例があるということが分かれば、類否の判断をするための資料として大いに役立つということになります。
しかし、従来、併存商標のペアを探し出す作業は、時間と労力がかかるものでした。
J-PlatPatで併存商標の登録例を見つけるには、まず「スーパー」の語が頭につく結合商標を無作為に検索し、ヒットした1つの登録商標「スーパー△△」の指定商品・役務の類似群をコピーして、その類似群に係る商品・役務を指定してなる登録商標「△△」を検索して、併存商標のペアを作るという、半ば当てずっぽうの力技をひたすら繰り返すしかありませんでした。
弊社の「併存商標検索」を使用することで、ゴリゴリの力技検索では場合によっては数時間に及ぶこともあった併存商標のピックアップが、わずか数分で完了します。しかも、特定の区分や類似群に絞って検索することや、図形要素の有無、語と語の間のスペース(空白)の有無なども特定したうえで検索することもできるため、より精度の高い併存商標のペアを検出することが可能になります。これにより、商標調査や意見書作成の効率の大幅な向上に寄与することは間違いありません。
これまで、2つの商標のうち、一方にのみ含まれる文字を入力して検索する方法しかありませんでしたが(「結合商標(一方)」)、新たに、両方の商標に共通する文字を入力して検索することもできるようにしました(「結合商標(共通)」)。
例えば、「SMART」と「SMART〇〇」のペアの併存商標を探したい場合には、「結合商標(共通)」の検索画面で「SMART」の文字を入力し、「前方」にチェックを入れて検索することで、次のような併存商標のペアをピックアップすることができるようになりました。
(1)類似群17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 22A01 22A03の分野で併存
「SMART」(標準文字/登録第6179305号)と「SMART CONFORT」(標準文字/登録第4731364号)
(2)類似群06A02の分野で併存
「SMART」(標準文字/登録第5563127号)と「SMART PLATINUM」(登録第5418283号)
なお、従来から提供している検索機能の「結合商標(一方)」では、例えば、「Super○○」(「スーパー○○」)と「〇〇」のペアの併存商標を探したい場合、「スーパー」という文字を入力し、「称呼」「前方」にチェックを入れて検索することで、下記のような併存商標のペアをピックアップできます。
(1)類似群17A02 17A03 17A07 22A01 22A03の分野で併存
「SUPERMAX」(標準文字/登録第6209899号)と「MAX」(登録第5978404号)
(2)類似群11A05の分野で併存
「スーパーカール」(標準文字/登録第6290863号)と「カール」(登録第5719621号)
(意見書の提出により、非類似と判断されたペア)
(3)類似群04A01 04C01 04D01 04D02の分野で併存
「Superegg」(標準文字/登録第6551019号)と「EGG」(標準文字/登録第4628116号)
(拒絶査定不服審判の審決で、非類似と判断されたペア)
上記(2)と(3)は、特許庁の審査において、一度、互いに類似するとの通知を受けたのに対し、各々、意見書、拒絶査定不服審判という手続きを経て、最終的に類似しないという判断に至ったという特別な関係にあるペアです。これらの手続きにおける非類似主張の説明の仕方や反論のポイントなどは、特に、意見書や審判請求書で非類似の主張を組み立てる際に非常に有益なものになります。
2025年3月17日から新たに導入された絞込機能を使えば、下記のような2つのステップで、特別な関係にある併存商標のペアをピンポイントで抽出することが可能になりました。
1.検索条件
1)検索ボックスに「スーパー」を入力
2)「登録ペア(登録-登録)」にチェック
3)「称呼」にチェック
4)「前方」にチェック
5)検索実行
2.絞込条件
6)「意見書提出」の項目で「有り」にチェック、「引用関係のみに限定」の項目で「限定」にチェック
7)絞込実行
この検索方法で、上記(2)の意見書での主張によって非類似と判断されたペアを抽出できます。
2.絞込条件
6)「審判有無」の項目で「有り」にチェック、「引用関係のみに限定」の項目で「限定」にチェック
7)絞込実行
この検索方法で、上記(3)の拒絶査定不服審判での主張によって非類似と判断されたペアを抽出できます。
なお、削除補正による対応ではなく、非類似主張で争ったものに限定して検索したい場合には、「補正書提出」の項目で「無し」にチェックをいれてください。
知的財産の分野では今後、AIやデータ解析技術の進化によって、検索業務の効率化がますます加速しています。弊社の併存商標検索機能を活用すれば、「力技」に頼らないスマートな検索が可能になります。
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