【コラム】
併存商標のスマート検索(結合商標 任意編 )
【コラム】
併存商標のスマート検索(結合商標 任意編 )
普段行っている文字商標の調査業務において、同一又は類似の商標がすでに出願・登録されていないかどうかを調べる際、具体的にどのような検索を行っていますでしょうか。
J-PlatPatで、「称呼(単純文字列検索)」ないし「称呼(類似検索)」の機能を利用して、調査対象の文字から生ずる称呼を入力して、称呼検索をしているという方は多いのではないでしょうか。
しかしながら、比べる2つの商標が称呼の点では異なっていても、観念の点で共通するために、類似すると判断された例は複数あります。
(1)「天使のスイーツ」 と 「エンゼルスイーツ/Angel Sweets」(平成21年(行ケ)第10052号審決取消請求事件)
(2)「Afternoon Tea」 と 「午後の紅茶」(東京高裁平成15年(行ケ)第499号)
ご存知のように、商標の類否は外観、称呼又は観念という要素をもとに、出所混同が生ずるおそれがあるか否かという観点で判断されることになっており、観念も類否判断の一要素となっています。にもかかわらず、その検索の困難さから、事前の調査において対応していないということも多々あるものと思われます。
この点、弊社の「併存商標検索」の「結合商標(任意)」を利用することで、気になるワードについての観念類似の検索が容易になります。この機能を利用した検索をすることで、商標調査の質が向上することは間違いありません。
例えば、これから「○○ベジタブル」という商標についての出願を検討する場面で、「○○野菜」という先行商標がないかどうかを調べたいという場合には、「併存商標検索」の「結合商標(任意)」を利用して次のような条件で検索します。
1.検索条件
1)検索ボックスにA「野菜」、B「ベジタブル」を入力
2)「登録ペア(登録-登録)」にチェック
3)「商標」にチェック
4)「後方」にチェック
検索実行
検索結果の件数が6件と少ないので、絞込条件は付けずに結果一覧を表示すると下記のような併存登録のペアが抽出できます。
(1)類似群32D01 32D03の分野で併存
「アスリート野菜」(標準文字/登録第6028991号)と「アスリートベジタブル」(標準文字/登録第6529521号)
(2)類似群29C01の分野で併存
「パワー野菜」(標準文字/登録第5159500号)と「パワーベジタブル 」(登録第5632653号)
今度は、逆に、観念類似であるとして拒絶になった例を探してみようと思います。
上記2)を拒絶ペア(拒絶 - 登録)にチェックを入れ、残りの項目は上記と同じです。
1.絞込条件
1)検索ボックスにA「野菜」、B「ベジタブル」を入力
2)「拒絶ペア(拒絶-登録)」にチェック
3)「商標」にチェック
4)「後方」にチェック
検索実行
そうすると、「○○ベジタブル」という商標が、他人の登録商標「○○野菜」と類似するとして拒絶された例がヒットしました。
・類似群32D01 32D03の分野で併存
「きらきらベジタブル」(標準文字/商願2015-089907)と「キラキラ野菜」(標準文字/登録第5744234号)
(不服2016-016701で非類似を争うも、類似と判断され拒絶確定)
指定商品が何かによって、キーとなるワードの識別力の問題もあるので、一概に観念類似となるか否かついて判断はできないものの、調査や意見書作成の現場においては極めて有効な判断材料になるものと思われます。
同様に、例えば、これから「think」という商標の出願を検討中という場面で、当該単語は日本でも慣れ親しまれたものであるため、念のため「考える」といった先行商標がないかどうかを調べておきたいというところですが、「併存商標検索」の「結合商標(任意)」を利用して次のような条件で検索します。
1.検索条件
1)検索ボックスにA「think」、B「考える」を入力
2)「登録ペア(登録-登録)」にチェック
3)「商標」にチェック
4)「完全一致」にチェック
5)検索実行
検索結果の件数が70件と少ないので、絞込条件は付けずに結果一覧を表示すると下記のような併存登録のペアが抽出できます。
類似群32F15 32F16の分野で併存
「think」(登録第6550195号)と「考える」(標準文字/登録第5820785号)
(不服2021-009480で非類似を争い、最終的に非類似と判断されて登録)
実際に出願予定の商標と既に判断を受けている商標とが、その書体や図形要素の有無などの点で異なっている場合には、必ずしも同様の判断がなされるかどうかは読めないところがあることは事実ですが、事前に判断する際の資料としてはとても有用なものであると思われます。
上記したような検索は、J-PlatPatでもやろうと思えばできないことはないと思いますが、とても煩雑な作業を繰り返し続ける必要があり、考えただけでも気が遠くなるような検索を強いられることが予測されます。
社内で採択した商標の中に、慣れ親しまれた外国語の単語が含まれているような場合など、観念類似の検討の必要性があるような場面では、当該検索機能は極めて有効だと思います。
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