【コラム】
併存商標のスマート検索(1音相違・称呼同一編)
【コラム】
併存商標のスマート検索(1音相違・称呼同一編)
「称呼が1音だけ違うんだけど類似なのかな?」
「同一の称呼が生ずる商標が登録されているけど、非類似主張の余地はないのかな?」
A+B商標ともいわれる結合商標に関する併存商標の検索については別のコラムで既にお話ししましたが、商標実務においては上記のようなことを検討する必要が場面も多いのではないでしょうか。
弊社の併存商標検索システムでは、「1音相違」や「同一称呼」の併存商標のペアの検索をすることができます。
1.1音相違について
(1)1音相違の場合
例えば、「トリパン」と「トリプン」のように、商標の称呼を構成する音のうち1音のみが異なっている場合の併存商標の検索ができます。
1.検索条件
1)「登録ペア(登録-登録)」にチェック
2)「1音相違」にチェック
3)「音A」に「パ」、「音B」に「プ」を入力
2.絞込条件
4)「音数・位置」のタグにおいて、「称呼音数」として4音を入力
5)「相違・欠落位置」に関し、「音位置指定」にチェック
6)「音位置指定」については、「前から3音目」と入力
できるだけ、今回の商標に近い併存商標のペアをピックアップするために、上記のような絞込条件を付けます。
さらに、下記のような絞込をかけることで、図形を構成中に有する商標の併存商標ペアを除外することができ、より目的に沿った検索が可能になります。
2.絞込条件
7)「属性指定」のタグにおいて、「図形商標」に関し「除外」を選択
上記検索の結果、次のような併存商標のペアをピックアップできました。
1)類似群41A01 41A03 41E01 41E02 41E03などの分野で併存
「アイプラ」(標準文字/登録第6473829号)と「アイパラ」(標準文字/登録第6890702号)
2)類似群42B01の分野で併存
「てんぷす」(標準文字/登録第5612438号)と「Tempus」(標準文字/登録第6850362号)
(拒絶査定不服審判の審決で、非類似と判断されたペア)
上記2)は、特許庁の審査において互いに類似するとの通知がなされた、引用関係にあるペアです。すなわち、一度、互いに類似するとの通知を受けたのに対し、拒絶査定不服審判という手続きを経て、最終的に類似しないという判断に至ったという関係です。
実務において、意見書で非類似主張を展開するような場面では、とても参考になるものと思われます。
なお、「絞込条件」の「手続き有無」において、「引用関係のみに限定」に関し「限定」にチェックを入れることで、引用関係にある併存商標のペアだけをピンポイントで抽出することも可能です。
(2)1音欠落の場合
同様に、例えば、「メモリー」と「メモリーナ」や、「ミラテク」と「ミラテック」、「クリル」と「クリール」のように、商標の称呼を構成する音のうち1音が欠落している場合の併存商標の検索もできます。
1.検索条件
1)「登録ペア(登録-登録)」にチェック
2)「1音欠落」にチェック
3)「音A」に「ナ」を入力
2.絞込条件
4)「音数・位置」のタグにおいて、「称呼音数」として4音~5音を入力
5)「相違・欠落位置」に関し、「音位置指定」にチェック
6)「音位置指定」については、「後ろから1音目」と入力
上記検索の結果、次のような併存商標のペアをピックアップできました。
1)類似群30A01 32F03などの分野で併存
「トロリー」(登録第556170号)と「とろりーな」(標準文字/登録第6217124号)
2)類似群41A01 41A03 41C02 41D01 41E05 などの分野で併存
「GOKIGEN」(登録第5457250号)と「ごきげんな」(標準文字/登録第6757955号)
(意見書の提出により、非類似と判断されたペア)
なお、同様に、上記「1.検索条件」の3)「音A」に「ッ」や「ー」を入力すれば、促音や長音の有無の違いを有する併存商標の検索ができることになります。
2.同一称呼について
近年、称呼が共通する2つの商標であっても、観念や外観において大きな違いがあるという理由から、非類似であると判断される例も少なくありません。
仮に、商標の審査において、出願商標と称呼が共通する他社の登録商標が引用されたのに対し、非類似の主張を展開する意見書を作成するような場面で、参考資料が欲しいときなどに、過去の併存商標をピックアップすることができます。
例えば、同音異義語、すなわち発音が同じで意味の異なる語からなる商標においては、使用されている漢字の違いなどによって、その類否が問題になることも多いと考えられます。
「同一称呼」のタグで、「登録ペア(登録-登録)」にチェック、完全同一にチェックを入れて、決め打ちとなってしまいますが、例えば「シンセン」と入力して検索することで、下記のような併存商標のペアをピックアップすることができます。
・「真仙」(標準文字/登録第5623056号)と「新泉\SHINSEN」(登録第746791号)
・「真仙」(標準文字/登録第5623056号)と「シンセン」(登録第737292号)
(拒絶査定不服審判の審決で、非類似と判断されたペア)
その他にも、「促音有無」「長音有無」による検索機能もございます。各々「WAKU WAKU\わくわく」(登録第4815843号)と「ワックワック」(登録第4259526号)、「わくわく」(登録第4245520号)と「ワークワーク」(登録第5790793号)のような併存商標のペアもピックアップすることができます。
【まとめ】
これまで説明してきた併存商標検索を利用することで、“一見似ているのに併存している商標”が数分でわかることになり、「類似判断の相場観が短時間で把握できる」「意見書の説得力強化に活用できる」という大きなメリットがあります。
審査や審判対応に追われる弁理士や企業の知財担当者、商品名の判断に迷うマーケティングチーム、あるいは、社内に知財担当がいない中小企業・スタートアップなどの方々が、商標の類否に悩んだとき、その判断を「直感」から「ロジック」にもっていくための有効なツールになります。
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